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洞窟小説

ここに紹介した洞窟関連の書籍は現時点で入手可能なものに限っていますが、なかには古書店でしか手に入らないものも含まれています。また、今後、入手が極めて困難になるだろうものもあるでしょう。興味のわいた本があったなら、できるだけ早く入手されることをお勧めします。

洞窟 (『恐怖劇場』に収録)
ブライアン・フリーマントル 新潮文庫 667円
フランス南西部のシャラント近くに大洞窟が発見された。だが、あまりにも規模が大きく、その上迷路状だったため、100年以上経った今日でも洞窟の全容は解明されていなかった。この洞窟にもっとも精通していたのは、発見者である祖父の代からこの洞窟の調査を行ってきたラヂュク家のルネだったが、彼はだれよりもこの洞窟を憎んでいた。彼は最愛の妻と息子をこの洞窟に奪われてしまったのだった。(S.K.)

 

死の霧の伝説
小林久三 角川文庫 420円
山陰の山中を車で移動する報道カメラマン小仲は深夜、林道沿いに多くの動物の死骸を見かける。山道を抜けて穴滅鬼村に出ると、得体の知れない黒い布袋が散乱しており、本能的にカメラを向ける小仲。そこへ白い防護服を着た謎の男たちが現れ、小仲に銃を向ける。とっさ、男たちを車ではね飛ばして逃げた小仲は警官をひき逃げした凶悪犯として指名手配されてしまう。小仲は女性新聞記者紀江子にかくまわれて、穴滅鬼の鍾乳洞に逃げこむ。推理小説界の鬼才が挑んだ長編伝奇ミステリーの傑作。(K.A.)

 

首都壊滅作戦
大石英司 幻冬舎ノベルス 800円
東京都心から電車で1時間と離れていない稲見渓谷で新洞窟が発見された。洞内からは結晶化した2mを越す巨人の死体が見つかった。この頃、すべての人間を殺し尽くす恐るべきウイルス性壊死病が北海道に出現した。さらに時を経ずして、岐阜県の山中で発見された光り輝く身長3mの人骨化石が発見される。それぞれの調査にあたっていた自衛隊化学班は、やがておそろしい真相を突き止める。 人気作家が最先端科学をふんだんに盛り込み、満を持して放つ最高峰の書き下ろし長編バイオ・サスペンス。(K.A.)

 

洞窟の生存者 (同名の作品である『洞窟の生存者』に収録)
菊村到 光文社文庫 400円 絶版
私は海上自衛隊の下総航空基地から太平洋に浮かぶ硫黄島へ飛ぶフライトに同乗させてもらった。作品はこの島でかつて起きた戦闘と、それに巻き添えとなった住民の歴史を、谷健三を中心に回帰したものだ。ここに登場する洞窟は自然のものを含め、防空壕として機能しているものだが、暗やみと自分のアイデンティティーを深く考察する件はなかなか興味深い。(S.K.)
 
大洞窟
クリストファー・ハイド 文春文庫 520円
ユーゴスラビアの奥地にある太古の大洞窟で、約4万年前のものと思われるネアンデルタール人の壁画が発見された。調査するために入洞した国際調査団は、突如起きた大地震で洞窟のなかに閉じこめられてしまう。漆黒の洞内では土砂流、増水、滝、毒虫、底なしの沼などが彼らを待ち受け、一人、また一人と彼らを捉えていく。原田という日本人の主人公が遭遇する出来事とそれらへの対処が一行の運命を大きく左右する。洞窟小説の極みともいうべき作品だ。(S.K.)

 

地下洞
アンドリュー・ガーヴ著 ハヤカワ・ミステリ 760円
イギリス労働党下院議員のローレンス・クイルターは、ウエスト・カンブリアン地方に、祖先伝来の邸宅と土地を相続していた。8月のある日、山荘で古文書を整理していた彼は、そのなかに古びた地図を見つけだした。驚くべきことに、それは彼の所有地に人知れぬ地下洞が存在することを示していた。彼はさっそく地図を頼りにひとり秘かな探検を思い立った。だが、洞穴は想像も及ばぬほど奥深く広がっていた。(S.K.)

 

地底元年
原さとる 毎日新聞社 980円
二郎は尾上家の祖先の遺言で北海道にある広大な土地を相続し、その地に独りで住まなければならなくなった。片田舎に閉じこめられ、憂鬱な気分で生活する二郎とって気晴らしは大学院の仲間と自宅で大騒ぎすることだった。ある日、家の裏山が崩れて洞穴が出現した。仲間とともにその洞穴を調査すると、900年前の金鉱山であることがわかる。さっそく鉱山会社を設立して金の採掘を開始する。そして、2年後、金鉱脈が途切れ、地底深く続く新たな洞穴が出現する。二郎たちの地底探検が開始された。(K.A.)

 

怒りの白き都
西村寿行 徳間文庫 590円
商社マンの山岡は30歳にして出世の道を閉ざされ、憂鬱な日々を送っていた。妻にさえ、ばかにされる悔しさを日曜ハンターで気を紛らわせていた。ある日、鹿を追ううちに甲府の山中で巨大な洞窟を発見した。その洞窟を探検した山岡は地底深くで光の宮殿を発見する。それは壮大な岩塩層だった。ふとしたことから、殺人を犯してしまった山岡は飲み友だちを仲間に加え、地下深くに夢の王国を建設する。男たちの夢と破滅を描く巨匠の異色ハードロマン!(K.A.)
 
海に沈む森 (『仄暗い水の底から』に収録)
鈴木光司 角川文庫 533円
多摩川の支流で新洞探しをしていた杉山文彦はケイビング仲間の榊原が新洞を発見したことを聞いて胸が躍った。どうやらかなりの規模の洞窟らしい。だが、今回はしっかりとした装備もなく、メンバーも不足していた。洞口の確認だけにしておこうと考えて洞窟の中へ入った杉山だったが、誘惑に負け、洞窟の奥深くへ入り込んでいった…。本作品は著者がPCCのK.A.氏に取材をして書き上げた異色の作品だ。本人は一度もケイビングをしたことがないとのことだが、よく雰囲気を捉えた作品に仕上がっている。(S.K.)

 

鍾乳洞美女殺人事件
南里征典 講談社ノベルス 660円
東北の鍾乳洞でビーナス像にソックリな鍾乳石が発見された。ニュースは全国の話題となったが、あるエリート会社員は慄然たる思いでこれを聞いた。彼はかつてその鍾乳洞で女性を殺害したのだ。すこし前から意味不明の手紙等を受け取っていた彼は、ここに至ってそれらが自分の過去の犯罪に対する脅迫であることに気づいて恐れおののいた。彼はその鍾乳洞を再訪し、一念奮起、姿なき脅迫者との対決を試みた。(Y.A.)

 

アクアリウム
篠田節子 新潮文庫 466円
長谷川のダイビング仲間である有賀が奥多摩の地底湖で遭難した。有賀の恋人に頼まれ、長谷川は有賀を探すために、その地底湖に潜った。そこは水没した鐘乳洞で、中は迷路のようになっていた。自分の位置を見失ってしまった長谷川は死を覚悟するが、突如現れた「彼女」に導かれ、奇跡的に生還した。あれは幻覚だったのか? それとも──長谷川は「彼女」の姿を求めて再び地底湖へと向かう。だが、そこで見たものは意外な事実だった。奥多摩、奥秩父を舞台にした新感覚のサスペンス・ファンタジー。(K.A.)

 

ザ・ケイヴ
アン・マクリーン・マシューズ 扶桑社ミステリー 648円
ヘレンは優秀な心理学者で、どんな精神病者も治療の可能性はあるという信念の持ち主だった。ニューヨーク州の精神衛生に関する福祉行政の責任者でもある彼女は、予算削減を巡る攻防で疲れ果て、ひとり旅に出る。ヘレンは子どもたちと、亡き夫とともに泊まったことのある湖畔のキャビンへ行くが、そこで精神異常の管理者と遭遇する。襲いかかってきた男から逃れる逃げ道は暗黒の洞窟しかなかった。だが、そこは男の精神の暗黒を育んだ場所であり、彼女はすぐに捉えられて監禁されてしまう。暗やみの中で、ヘレンと男との息詰まるやりとりがはじまった。(S.K.)
 
シブミ
トレヴェニアン 早川文庫 440円
若かりし頃に日本に住み、シブミを体得したニコライ・ヘルは暗殺者を生業としてバスクに住んでいた。かつて恩義を受けた人物の姪にあたるハンナに忍び寄る危険から彼女の身を守ることにしたニコライは、巨大組織の魔手にからめ取られそうになる。ハンナとともに山中に逃げ込んだニコライは、竪穴に逃げ込んだが、命綱は追っ手によって切断されてしまった。迫り来る死の危険に、ニコライは地底の世界で必死の脱出を図る。(S.K.)

 

八つ墓村
横溝正史 角川文庫 540円
横溝正史の大ベストセラー。都会育ちの若者が自分の出生地へ帰ってきたところ、その因習に縛られた山村で連続殺人が発生した。村人は彼が災厄の元凶と思いこみ、暴徒と化した。難を避けるため村の地下全体に広がった大洞窟に逃げ込んだ彼と村の娘は、結果的に村に伝わる古地図と洞窟財宝伝説の真実に迫っていくことになった。映画化されたときはホラー的演出が多かったが、実際には鍾乳洞でのロマンスと宝探しがモチーフとなった冒険推理小説である。(Y.A.)

 

不死蝶
横溝正史 角川文庫 420円
23年前、洞窟内で殺人事件が発生した。事件は迷宮入りとなったが、姿を消し た一人の女性が犯人と噂された。濡れ衣を晴らすため、彼女が娘と共に村に帰 ってきたところ、またしても洞窟内で殺人事件が起きた…。 著者は戦時中岡山に疎開していたため、地元の洞窟を舞台にした作品を数多く書いている。石灰洞以外に、花崗岩洞窟(「悪霊島」)や富士山麓の熔岩洞窟(「迷路荘の惨劇」)もある。(Y.A.)

 

人工洞窟と書斎のアナロギア
原研二 作品社 3495円
グロテスクということばは、洞窟を意味する「グロット」ということばに由来する。ルネサンスが栄華を極めた16世紀イタリアの大貴族の荘園には「グロッタ」という名の人工洞窟が存在していた。人間の手によって究極の楽園を造ろうとする倒錯の試みを解き明かす、初めての本格的な洞窟論。(※本書は小説ではないが、中世ヨーロッパにおける洞窟の存在を解き明かす極めて注目すべきものだ。)(S.K.)

 

ソロモン王の洞窟
(原作)ハガード,ヘンリー・ライダー (文)横田順弥 講談社 本体1500円
二千数百年まえに栄華を誇ったソロモン王の秘宝が、アフリカの奥地に眠るという話を聞いたイギリスの冒険家3人は、ウンボパという名の現地人と知られざる国を目指す。古地図をたよりに出かけた3人のイギリス人たちは、灼熱の砂漠と凍えそうな氷の山を越えて進む。そんな彼らを待ち受けていたものはあまりにも意外なものだった。ライダーには他に『洞窟の女王』という著作がある。(S.K.)

※書評の略称のうち、K.A.は芦田宏一、Y.A.は安形 康、S.K.は近藤純夫です。
※芦田宏一氏には洞窟関連小説の資料提供と書評作成に協力していただいたが、
 同氏が主催するパイオニア・ケイビング・クラブ(PCC)の書籍ページにも、娯楽編、実用編、
 資料編と題する書籍や雑誌の紹介コーナーがあります。